当院循環器科は循環器研修施設、超音波専門施設として、循環器専門医師(常勤2名、非常勤1名)、心エコー技師3名、他担当スタッフで診療しています。当院では心電図(負荷)、ホルター心電図、24時間血圧計、心エコー、頸動脈エコー、末梢血管エコー、心筋シンチ、ペースメーカー治療等を行っています。
医療の発展により、将来、人生100年の時代も到来するかもしれません。高齢化社会になり、血管病、心不全が増えている現状では、症状出現前の生活習慣是正が大切です。薬物治療のみならず、病気を未然に防ぐよう、食生活の面からの取り組みが大切です。
生活習慣病は、全世界の死因の7割を占め、冠動脈疾患は全世界の死因のトップです。
我が国では1960年代以降、死亡率が低下しているものの、40~69才の冠動脈疾患の罹患率が、1980年代後半~2000年代にかけて、2倍に増加したともいわれています。国民健康栄養調査によれば、魚介類の1日当たりの摂取量が、94g(2001年)から65g(2016年)へ減少しているのも一因とされています。
喫煙は悪性腫瘍、慢性肺疾患、心血管病の危険因子であります。タバコが動脈硬化促進にもたらす原因は、体内における慢性的な炎症反応の惹起とされ、1日1本の喫煙や受動喫煙でも、心筋梗塞発症リスクが数倍に跳ね上がるとされます。完全なる禁煙が重要とされます。電気加熱式タバコはどうかというと、長期の影響については不明、かつニコチン、アルデヒド等の悪影響も懸念されます。禁煙治療については電話でのカウンセリング、インターネットによる禁煙マラソンも有効とのことです。
近年、2017年に米国、2018年に欧州、2019年に日本が高血圧治療ガイドラインを改定しました。より早期から、より低く、24時間にわたる降圧が推奨され、家庭血圧125/75mmHg 未満とされました。特に糖尿病や脳卒中既往を有するハイリスク高血圧症患者においては、早朝家庭血圧125 mmHg 未満でリスクが最小となり、夜間高血圧も早朝高血圧とは独立した循環器疾患のリスクとされます。
動脈硬化疾患のリスクは、複数のリスク因子が重複すると、相乗的に上昇するので、逆に複数因子を同時にコントロールすると、大きな抑制効果が得られます。特に糖尿病患者においては、食事・運動・喫煙などの生活習慣指導に加え、高血糖、脂質異常、高血圧に対して積極的な薬物治療の有効性も明らかになっています。
気になる症状をお持ちの方は、一度、循環器内科を受診されてみてはいかがでしょうか。
専門病院としての役割を担い、地域の医療機関と連携をとりながら、日々の診療に取り組んで参りたいと思っております。