認定看護師(Certified Nurse)とは、日本看護協会の認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することを認められた看護師です。水準の高い看護実践を通して看護師に対する指導・相談活動を行っています。
認定看護師は特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たします。
当院での放射線治療は1996 年に始まりました。私は病棟で治療を受ける患者を受け持ちながらも、放射線に対しての知識は乏しく、患者やその家族の放射線治療に対する不安や疑問に十分応えることはできませんでした。さらに人目から離れた場所にある治療室で照射が行われる特質も影響してか、何か疎遠で知識も浅いままでした。そんな時、私は国立がんセンター主催の放射線療法看護指導者研修会を受講する機会を頂き、それをきっかけにもっと知識を得たいと考え、その研修から1年後にがん放射線療法看護認定看護師の教育課程に入学、2011年日本看護協会の試験に合格し資格を取得しました。今後はさらに自己研鑚に努め、看護職員全体で放射線療法看護の質の向上をめざしたいと思います。
認定看護師になってから数人の事務スタッフに「あなたも放射線を出したりできるの?」という質問を頂き、思わず笑いながら「できませんよ。」と答えたことがあります。もちろん私は機械を動かすことは出来ません。つまり治療室に看護師がいなくても放射線治療は出来るのです。しかし、看護師は独自の視点とコミュニケーションスキルを駆使して、患者の苦痛や不安の軽減、セルフケア支援を行いながら治療完遂を共に目指すことができます。放射線療法は患者を中心にチームで行う医療です。私は、主治医・放射線治療専門医・診療放射線技師、看護師等がしっかり連携をとり、それぞれの役割をもって患者を支えることで、放射線療法の効果は増すと考えています。まだまだ頼りない認定看護師ですが、患者と医療スタッフ間、チームスタッフ間の橋渡しの役割を果たせるよう活動していきますので、気軽に声をかけて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
私は2011年6月から6ヶ月間、緩和ケア認定看護師教育課程で学び、2012年7月試験を受け資格を取得しました。
午前中は、化学療法室で治療をされている患者さんのケアを中心に働いています。ケアの内容は、副作用症状やがんに伴う症状・気持ちのつらさなどの対応です。また治療の選択に対する意思決定支援も行っています。
午後は、緩和ケアチームに依頼のあった病棟の患者さんやご家族の方へのケア、医療用麻薬を用いて痛みの緩和を図っている患者さんへのサポー ト、医師が診断結果および治療方針を説明(告知)するときに立ち会いその後のサポート、医療スタッフヘのサポートを中心にチームで活動しています。その中で日々実感するのは、自分自身が人から支えられている”ということです。“お互いが互いを支えあう"そういう関係性の上に緩和ケアは成り立っていると考える毎日です。これからも研鑽に努め、患者さんご家族の希望に寄り添い、切れ目のない緩和ケアが提供できるように取り組んでいきます。いつでも気軽に声をかけてください。
がんと診断された時から病気の時期に関係なく、治療と並行して行われるべき医療行為です。身体的苦痛や気持ちのつらさを少しでも和らげるための支援を行い、患者さんが その人らしぐ過ごせるようにサポートしていく医療・ケアです。また症状が出る前に予防に努めることも積極的に行っていきます。緩和ケアは病院内だけではなく、患者さんが住み慣れた地域と連携を図るため、患者さんご家族が希望される場所で受けることができます。
当院では緩和ケアチームでがんと向き合う患者さんとご家族をサポー トしています。主なメンバーは、身体的苦痛を担当する医師・気持ちのつらさを担当する医師(非常勤)・看護師・訪問看護師・薬剤師・管理栄養士・社会福祉士・理学、作業療法士です。いつでも(入院・外来通院・在宅療養中)気持ちや身体がつらいと感じたら、気軽に声をおかけください。
私は2015年6月~11月までの半年間、久留米大学認定看護師教育センターで学ばせて頂き2016年7月に緩和ケア認定看護師の資格を取得しました。当院では2人目の緩和ケア認定看護師です。現在は5階西病棟で勤務をしながら週2回(木曜日・金曜日)は活動日として病棟を中心に患者さん・ご家族と関わらせて頂いています。
私が緩和ケア認定看護師の資格を習得しようと考えたのは、看護学生時代に出会った進行食道がんの患者さんがきっかけでした。患者さんとの関わりの中で自分に出来る看護を振り返っていた際に緩和ケアという言葉を知りました。緩和ケアについて学びたいと考え、済生会病院に入職しました。入職してからたくさんのがん患者さんと出会い、“更に自分に出来る看護を見つけたい"、“少しでも患者さんの力になれるように知識を得たい"という思いが強くなりました。認定看護師の中では看護師経験が短い方ですが、今後も看護師経験を積みながら認定看護師としても成長していきたいと考えています。
2015年7月に資格習得し、現在は5階東病棟の主任を兼ねて活動しています。患者さんからは「ストーマ(※1)専門の看護師さん」「褥瘡(床ずれ)を見に来る人」などと言われています。
皮膚・排泄ケア認定看護師、通称WOCナースは大きく分けて3つの分野を専門分野としています。W:創傷ケア、O:ストーマケア、C:失禁ケアです。創傷ケアは皮膚の健康を保つためのスキンケア、褥瘡(床ずれ)予防、起こってしまった皮膚トラブル・できてしまった創傷が治りやすい環境作りや、がん化学療法の皮膚障害・疾患により脆くなってしまった皮膚のケアを行っています。ストーマケアは、人工肛門・人工膀胱・胃ろうなどの瘻孔(※2)を造設された患者さんのケアや、社会復帰のお手伝いを行っています。失禁ケアでは、病気や手術によりおこった失禁の排泄管理や、失禁によって起こる皮膚トラブルのケアを行っています。
※1:ストーマとは、手術によっておなかに新しく作られた便や尿の排泄の出口のことを言います。人工肛門や人工膀胱の種類がありますが、何か特別な機械を使うのではなく、自分の腸や尿管を直接おなかの外に出して便や尿の新しい排泄の管理になります。
※2:瘻孔とは、臓器と皮膚表面をつなぐ通路(孔:トンネル状の穴)のこと。人工的につくったものや先天的なもの、あるいは病気などで皮膚にできる場合などがあります。
宮崎県立看護大学 看護研究・研修センターで8か月間学び、2018年6月に感染管理認定看護師の資格を取得しました。
臨床現場で看護実践を行う際、患者様に安心・安全に医療や看護を提供するために感染管理は非常に大切ですが、部署により感染に対する意識の違いがありました。私自身も知識不足を感じていたため、専門知識を深めたいという思いが強くなり、感染管理認定看護師を目指しました。
感染管理は、組織横断的に活動することが大きな特徴であるため、日頃からの感染予防に対する意識づけ、感染防止をするための行動を習慣化することが大事です。医療安全管理室の感染担当として、当院を利用される患者様及びそのご家族、病院に関わる全ての職員を不必要な感染から守り、快適な入院生活、安心・安全に働ける環境となるように活動しています。また、感染対策チームの一員として、あらゆる部署で発生する感染に対する問題や情報を集約し、感染対策の実施が適切に行われるよう支援しています。手指消毒剤の使用量チェックや部署のラウンドは、リンクナースと協働して感染管理に対する意識を高められるように取り組んでいます。
また、全職員に対して感染予防に関する教育、コンサルテーションも実施し、感染防止活動をしています。その他、感染防止マニュアルの見直しを行い疫学的に効果が認められた感染防止技術を取り入れ、実行に移せるマニュアル作りにも取り組んでいます。感染防止対策が確実にできることで、患者様及びそのご家族に、安心して入院・外来受診をして頂けると思います。
2017年年6月から半年間、久留米大学認定看護師教育センターにて、がん化学療法看護を中心に学びました。翌年認定審査に合格し、2018年7月にがん化学療法看護認定看護師となりました。がん化学療法認定看護師には、抗がん剤の安全な投与管理はもちろんのこと、副作用マネジメントを行い専門性の高い看護を実践し、更に看護職への教育指導や相談などの役割があります。
認定看護師取得後は、病棟から外来化学療法室へと異動しました。外来化学療法室では、1日最大9名の患者さんに抗がん剤治療を行っています。年々、外来化学療法を受ける患者さんは増え、現在は、年間1400件ほどです。抗がん剤治療は、効果が期待できる一方で副作用が強く、悩みを抱える患者さんもいます。特に外来治療は、副作用を病院外で経験することが多く、症状を軽減させるためには、セルフケア(自分自身をケアすること)が重要だと言われています。そのことから化学療法室では、患者さんの背景や生活習慣を把握し、生活の質を保ちながら自分らしい生活が送れるように支援を行っています。