当院は昭和23年(1948年)11月に内科・小児科の1床の診療所として誕生し、昭和41年(1966年)に現在の地に新築移転、平成8年(1996年)には現在の新病院が完成しました。令和5年(2023年)は開院して75年となります。地域の急性期病院として救急医療の充実を図るとともに、地域の医療機関と密接な連携をとりながら、がん医療、小児周産期医療、災害・被ばく医療、へき地医療に力を注いでまいりました。平成20年(2008年)に地域がん診療連携拠点病院に指定され、地域における専門的ながん医療、相談支援情報の提供を担い、様々ながん専門スタッフを揃え、がん相談支援センターを設置しています。平成21年(2009年)には地域周産期母子医療センターに指定され、深刻な地方における産婦人科医師不足の中で、周産期救急医療に対応できる体制を構築してまいりました。24時間365日体制で産科医師・小児科医師が待機しており、麻酔科、小児外科、外科、内科の医師・スタッフが緊密な連携をとることにより、安心して子供を産み育てられる地域づくりに貢献しています。また、当院は災害対策にも積極的に取り組んできました。平成9年(1997年)に災害拠点病院、令和2年(2020年)には原子力災害拠点病院の指定を受けています。DMAT(災害派遣医療チーム)を2チーム有し、定期的な大規模災害訓練に加え、原子力発電所内の被ばく事故に備えた訓練も行っています。さらに、平成14年(2002年)にはへき地医療拠点病院を取得し、地域診療所への訪問診療、甑島の診療所への代診医派遣を行ってきました。
済生会の原点は、明治44年(1911年)2月11日に明治天皇がおつくりになられた「済生勅語」です。「恵まれない人々のために施薬救療し、済生の道を弘めるように」との済生勅語に添えてお手元金を下賜され、これをもとに恩賜財団済生会が創立されました。当院でもこの精神を受け継ぎ、無料・低額診療事業を行っています。さらに更生保護施設や障がい者施設へも支援を行うなど福祉事業にも積極的に取り組んでいます。
当院の理念は「私たちは、保健・医療・福祉を通じて地域社会に貢献します」です。当院はこれからも“済生の心”をもって地域のみなさまに最善の医療を提供してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
社会福祉法人 恩賜財団 済生会川内病院
院長 嵜山 敏男
1989年鹿児島大学医学部卒、同大学第二内科入局。1994年~1997年京都大学医学部分子生物学(本庶 佑教授)研究員。2006年鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学助手。2006年~2008年シカゴ大学医学部消化器科(Eugene B. Chang教授)研究員。2009年鹿児島大学光学医療診療部講師。2011年同准教授。2012年出水総合医療センター副院長。2016年済生会川内病院副院長。2019年11月より現職。